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そう、ここは、どんな依頼でも必ず引き受けてくれる探偵事務所。何でも屋のような所だ。だからこそ、少年はここを選んだのだ。
「ま、ま。とりあえず座ってください。あ、ご苦労様」
青年が扉の所に立っていた猫のぬいぐるみに、片手を振った。ぬいぐるみは、ぺこりと小さなお辞儀を返し、扉をどうにか外側から押して閉め、見えなくなってしまった。
「あのぬいぐるみ、電池で動いてるんですよね?遠隔操作ですか?」
「ん?いえいえ。彼は生きてるんですよ」
青年は先に革張りの椅子に座りながら答える。座る動作まで、優雅だ。
「は?」
「人形が動くのを見るのは初めてですか?まぁ、珍しいですからね~」
青年は、ペルシャ猫を見るのは初めてですか?のノリで、少年に聞き返す。
いや、レア度が違うでしょ!?普通は、ないだろう。普通ないよな??
青年の前にいると、彼の言葉に間違いはないという気がしてくる。オーラがそうさせてるのか?
…ぬ、ぬいぐるみって、普通は、動かない、よな?俺が見たこともないだけか?
頭が混乱してきている少年をよそに、青年は話を進める。
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