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「噂を聞いて来たのでしょう?ここは、何でも叶えることが出来る場所だと」
それまでの柔らかな態度から鋭い眼差しで見られ、少年は思わず唾をごくりと飲み込む。
だが、一瞬で元の穏和な笑顔を浮かべ、右手で再度座るように促された。
「では、話を聞きましょうか?貴方のお名前は?」
「…俺の名前は、北原和馬(きたはらかずま)。高3の18歳だ」
「わ~、お若いですね~。で、なぜここに?」
膝の上で拳を固く握る。
「探して、ほしい人がいるんです。俺の、妹を…」
「妹さん、ですか?」
「はい。妹は、確かに俺の目の前で消えたんだ!警察に何度言っても信じてもらえず、家出じゃないのかって言われて…。しかも、母さんや妹の友達が、妹のことを忘れてるんだ!俺に妹なんかいないって!何がどうなってんのか、俺さっぱり分かんなくて……」
「あー、その犯人はおそらく」
青年が続きを話す前に、両開きの扉が勢いよく開いた。バン!というかなり大きめの音と共に。
「!?」
な、なんだっ!??
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