鬼と少女

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そこには、少女が立っていた。 肩より長めの黒い髪が、窓から差し込む陽光によって、キラキラ輝いて見える。 髪と同じ黒い瞳には、強い意志が宿っていた。14~5歳くらいの少女だったが彼女も、何処か気品を漂わせている。和馬は、照れもせずに少女に見入っていた。それだけ、綺麗な少女だったのだ。 控えめなヒラヒラのついた黒いワンピースを揺らしながら、少女は部屋の中央へと突き進んでくる。どうやら、機嫌が悪いらしく、眉間には皺がよっていた。 「おはようございます、リリさん」 「おはようじゃないわ!あんたの人形、なんとかしてっていつも言ってるでしょ!」 右手を付きだし、持っていたウサギのぬいぐるみを青年の目の前にぶら下げた。 「毎朝、毎朝、うるさいのよ!今度私の眠りの邪魔したら、腹綿抜き取るわよ!」 意味が理解できるのか、ぬいぐるみはビクリと体を動かしたきり、動きをとめた。微かに震えてるようにも見えるが…。 「大丈夫ですよ~、僕が新しい綿をつめてあげますから」 「…その解決方はどうなんだ?」 ウサギを壁に放り投げながら、少女は和馬へと視線を向ける。 「誰?これ」 「お客様ですよ~。あ、リリさん、お茶お願いします」 「自分で入れろ。なに?人探し?」 人形のように綺麗に整った顔を、少年に近付け、値踏みするように目を細める。 可愛いい子は、どんなことしても可愛いいんだな~などと思いながら、ついじっと見返してしまう。
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