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その中から最も威厳に満ち溢れた男が婦人の方に闊歩した
子供達は慌てて婦人の背に隠れて、男の姿を覗き見た
彼女は真っ直ぐ彼を見据える
男は、婦人の前まで来ると、
おもむろに拝礼した
「喧皇閣下、偏将軍郷園、
お迎えに参上しました」
「ありがとう将軍、すぐに
行きます」
「ハッ!!」
その一言で男は退いた
彼女は振り返ると、申し訳なさそうに手を合わせた
「ごめんね皆…!お話しは
また明日……ね?」
「うん!わかった!!」
「お待ちしてますよ」
馬車に揺られていく彼女に手を振った
「なぁに?今日はまたやけに
早いじゃないの」
彼女は口を尖らせ、隣を走る
郷園に問う
「ハッ!!本日、陛下への答辞儀のため、伊昇候殿が来殿されました故…」
彼女は眼を輝かせ
「え!?裁可が来てるの?」
「閣下との御対面を心待ちにしておいでです」
「予定より一月も早いじゃないの…!相変わらず裁可サンは
気が早いわね~…」
まんざらでもない表情で、
呆れた様に笑った
そして急に郷園に向かって
「園ちゃん、いつもお迎え
ありがとね!」
彼は厳つい顔を真っ赤にし
「…私とて卑しくも中華に
仕える身……どうか臣名でお呼びください…」
「あら?あなたも広平も、
私にとっては子供のままよ?」
「おッ…!恐れ多いことでございます……!!」
長閑な道に明るい笑い声が響き渡った
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