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市内を抜け、壮大な宮門を
くぐると、中華帝が政務を司る中華堂がある
数十万の兵士が立ち並び、
文武百官に迎えられた彼女は
最早、先程の『蘭さん』では
ない
「喧皇、答辞儀参内の故、
慎粋を許す」
巨大な勅書を受け取る
「承る、下がって宜しい」
そして高くそびえ立つ階段を
昇り始めた
その威厳に満ちた背中を見、
皆、溜め息をついた
しかし、当の本人はある場所に向かってひた走る
「裁可!待ってたよっ!!」
「凪砂ぁ!久しぶり~!」
宮殿大広間で、二人は幼い子供の様に抱き合った
「全く…来るならちゃんと連絡しなさいよ!いっつも突然
なんだから…」
「アンタ驚かそうと思ってね~それにしても、凪砂は
相変わらずだねぇ」
「あれっ?仰ちゃんは一緒じゃないの?」
伊涼はぶっきらぼうにかぶりを振った
「アイツさぁ、やっと文字覚えてね…最近は仕事もそっちのけで、本ばっかり読んでるわ!」
フフッと笑い
「相変わらず仲良いね!」
「本で思い出したけど」
急に真剣な顔になって、喧蘭の顔を見つめた
「広夢の事、書いてるんだってね?」
頷いて笑った
「うん」
「ねぇ凪砂、約束して」
強くその手を握りしめた
「出来上がったら私に、一番に読ましてよね」
「うん!もちろんよ」
その夜は一晩中、懐かしい思い出話に華が咲いた
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