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生徒用昇降口が閉まってたから、スリッパを脱いで、外靴を持って、職員玄関から外に出た。
駐車場には、車体の高い青い車が一台停まっていた。
これが恭介の車か。
持っていた車のキーの、付属のボタンを長押しすると、ランプが2回点滅して、カチャンと鍵が開く。
助手席に乗り込むと、さっき抱きしめられたときの香りがして、ちょっとドキッとした。
いやいや、ドキッの意味がわかんないし。
飲み物を立てるドリンクホルダーに、よくわかんないキャラクターの人形が突っ込んである。
あ、ミラーにも同じキャラクターのキーホルダーがぶらさがってる。
手に取ってみようと思ったとき、職員室の電気が消えて、順番に廊下の電気も消えていった。
真っ暗になっちゃった。
最後には、職員玄関の電気も消えて、恭介が出て来る。
ちょっとてこずりながら鍵を閉めて、こっちに振り向いた。
歩いてきながら、ポケットからタバコを取り出して、慣れた手つきでタバコに火をつける。
だから、何で恭介なんかにドキッとしてんだよ。
ガチャッと運転席のドアが開く。
「お待たせしました。」
「校内禁煙」
「…めずらしく、俺にかまうんですね。」
「うっさい。」
「すいません。」
エンジンをかけて、ゆっくりと車を発進させた。
恭介の車は、私と恭介を乗せて、私の家に向かって走り出した。
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