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「ここ右でしたっけ?」
「うん。」
家が近いから、数分ですぐに到着した。
うちのアパートの目の前に車を横付けする。
「ありがとう」
足元に置いてあった荷物を持って、ドアに手をかける。
「…由紀」
反対の腕を、恭介に掴まれた。
「な…」
驚いて振り向いたら、恭介は真剣な目で私を見つめていた。
私の目線と、恭介の目線が強く結び付いた。
何か言いたそうだけど、だめ。
それは言っちゃだめ…
「か、帰るね」
空気に耐えられなくなって、恭介の手を振り払って車を飛び出した。
振り返る事なく走って、階段を駆け上がった。
ドアの前で立ち止まると、恭介の車が走り去る音が聞こえた。
心臓うるさい…。
なんなの。自分の気持ちも、恭介の気持ちも、知りたいけど知りたくない。
意味わかんないって。
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