☆+゚さん

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キーンコーン 授業が終わって、かばんを背負う。 今日は特に変わったことも無くて、眠ってたらいつの間にか放課後になってたみたいな日だった。 義孝まだかなあ。 「あ、あの…」 「ん?」 後ろから、誰かに呼ばれて振り返る。 私より少し背の低い、小柄な男子が、モジモジしながら私を見上げていた。 あ、確かこの人ひとつ下の学年の…名前は知らない。 「か、神谷由紀先輩?」 「…そうだけど。」 なに、私の事知ってんの? おちび君は、ちょっとためらった後に、やっと決心して口を開いた。 「あの、えっと…う、歌が上手って聞いて…あの…」 歌? 何の話か全然わからない。 「由紀!」 おちび君がモジモジしてる間に、義孝がやって来た。 「義孝。」 義孝は私の隣に立って、おちび君の顔を覗き込む。 私よりだいぶ背の高い義孝にとって、おちび君の顔はすごい遠いんだろうな。 「…だれ?」 いきなり失礼な発言をした義孝の腕を軽く殴った。 ほんと、こいつばか。 「じ、自己紹介が、まままだでしたっ」 おちび君は、慌てて気をつけをして、私たちを見上げる。 「ふ、ふ双葉まこと(フタバマコト)です!にに2年です」 ものすごい慌てようのおちびを見て、義孝はプッと吹き出す。 「かわいいなーおまえ。」 「え、いや、あの…ぼ僕は由紀先輩を、あの、すすスカウトしに、来ただけで…」 ん?スカウト?
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