☆+゚さん

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「なに、代理って?」 「ぁ、あああの、ボーカルの人が、今入院してて、あの、虫垂炎で…」 「ふーん」 虫垂炎ってなんだ? ま、いーわ 「えっと、僕がリードギターで、…」 プログラムを渡されて、メンバーと担当の楽器、歌う歌を伝えられる。 知ってる曲ばかりで、カラオケで歌ったことある曲だ。 「その入院してるボーカルの人も、由紀さんならお願いしたいって言ってるんです。あの、お願いできますか…?」 ってか、私が歌上手いって誰が広めたんだっつの。 私がうんうん唸って考えていると、覗き込むように潤んだ目で、更に上目遣いで見つめてくる。 「…っ」 なんかこれ…昔CMで見たことある気がする。 どうする~ア~イ~フ~r ガタガタンッ! 私の思考は、義孝が慌てて立ち上がったことに驚いて停止された。 通路に飛び出して、赤くなった顔を手の甲で押さえて後退りする。 慌てすぎ。 顔赤すぎ。 わかりやすすぎ…。 「か、かか帰るっ!」 出口に向かってまっしぐら。 ……………惚れたな。 バンッという音とともに、ドアにぶつかりながら店を出て行った。 まこと君は驚いて、義孝の出て行ったドアと私の顔を交互に見た。 「ど、どどどうしたんですかっ!?」 「うーん…発作?」 「ヘ、ほ、発作!?」 慌てふためくまこと君。 あぁこの子、かわいい。 私は席を立って、三人分のお代をテーブルに置いた。 「歌の話だけど、私やるよ。上手くないから、期待しないでね?」 「ほ、ホントですか!?ありがとうございます!あ、あの、じゃあ、明日の放課後、メンバーと一緒に」 「わかった、教室来て?」 手を振って出口に向かうと、背中に何度もお礼の声が聞こえた。
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