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その日も、私の運転で知人と二人、宛ての無いドライブを楽しんでいた。街を抜け、どんどん田舎道へと進んで行く…。二人、顔を見合わせながら「ここ何処だろ…⁉」「きっとどこかに繋がってるよ…多分…。」「そうだね、行き止まりなら戻れば良いもんね😆」そんな感じで、とにかく車で遠くへ出掛けられることが楽しくて仕方が無かった。だから、そこが何処だったかなんてわからない。わかるのは夕方で、砂利道で、田んぼが沢山あって、民家がポツンとあった…そのくらいだ。
その道は一本道だった。脇道もなく民家もなく田んぼも無くなって行った。段々心細くなって行く…。私はその道で、何を思ったか路肩に車を止めた。
「どうする⁉戻る⁉」
何か嫌な予感がした。どうしてかわからないけど、何かそんな気がした。
「…。」知人は考えている様だった。
その時、駐車していた私達の横を白いセダンが通り過ぎた。
「車が通るってことは、この道、何処かに繋がってるんだよきっと〓」
「そっか…そだね、行ってみるか…😉」
私は、再び車を走らせ、白いセダンに追いついた。余りピッタリくっついて走ると怪しまれるので、少し離れて後をついて行く事にした。目の前の道は段々険しくなって行き、木が道を覆い隠すように生え、轍の草ものび放題で車に当たる音がする…。「ねぇ…この道、本当にどこかに繋がってるのかなぁ…。」私がポツリと呟く。知人は、戸惑いながらも「でも前に車が走ってるんだし…多分大丈夫だよ…。」と言った。
「うん…。」
お互い言葉が少なくなっていく。
いつの間にか車の両側は草と木しか無くなって行った。
脇道も、駐車帯も見当たらない。こんなところで対向車に出合ったら、初心者の私には避けられない…。
そんな事を考えながら、白いセダンのテールを見つめる。前の車がカーブにさしかかり、一瞬、ほんの一瞬、前のセダンのテールランプが見え無くなった。時間にして一秒…。私達も直ぐカーブにさしかかった。その先は道が無くなっていて、広場のような雑草畑。驚いた私は車を止めた。車が…居ない。確かに、今の今迄、私達の目前を走っていた白いセダンが見当たらない。カーブの途中にも脇道は無かった。雑草畑にも轍の後は無い。
私と知人は車を降り、白いセダンを探して、辺りを見回した。
すると途端に彼女が叫ぶ。「ちょっ❗❗ヤバイ❗❗あれ見て❗❗」
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