88人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
幾度も幾度も夢を見る。
森の中に埋もれるように存在する、動植物達が守る大きな古びた遺跡。とても、きれいなところ。
知らない景色なのに、懐かしい。
直感が告げる。夢ではない。
これは『過去』なのだと。
では、誰の記憶なのだろう。
わからない。
それは、わたしにしかわからない。
でも……わたしだって、わからない。
わからないことがもどかしい。
心の中で何かが叫ぶ。「帰りたい」と。
どこへ帰りたいのか。あの遺跡に帰りたいのか。
誰が帰りたいのか。わたしが帰りたいのか。
何も、わからない。
最初のコメントを投稿しよう!