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口喧嘩を終えた宏人は、一人保健室で少し泣きそうな顔でうずくまっていた。かなり口喧嘩でボコボコにされたらしい…。普通の喧嘩も強い伸一郎は口喧嘩でも強かった。そして、伸一郎はといえば、口喧嘩が終わった途端、「新入生~♪」と叫びながら駆け去っていった。
しばらくして、教室に戻った宏人は、席に着くなり隣の席の春華に挨拶をした。
「君が新入生?俺は奥山宏人って言うんだ。君は?」
「…宮灘春華。」
「春華…って呼ぶから!!いいよね?よろしく!」
「…よろしく。」
半ば(てか、99%)強制的に名前の呼び方を決めた宏人に、(何、こいつ?)と思いながらも、いつもどおりの暗い声で返事を返した春華だった。
これから始まる学園生活。それは悪夢のような現実であり、空想の世界のような不思議な時間だった。
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