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「…宮灘春華といいます。仕事の都合でこの高校に来ました。」
少し緊張しながらも、それより暗さが勝っている低めの声で彼女は言った。
「そうか…。何処か空いてる席あるか?」
「宏人の隣が空いてます!」
と、いかにもラブコメでありがちな展開になってきた。
「よし、じゃあそこに座って。宏人は…今保健室だから。」
「…分かりました。」
席に着いた春華に、クラスの生徒から質問攻めが始まった。
「何処から来たの?」
「好きな食べ物は?」
「この学校どう?」…
たくさんの生徒の中、ひときわ興味津々の生徒がいた。
錦田梨花(にしきだ りか)だ。成績は普通で、スポーツも得意ではない。眼鏡と三つ編みという、学園ものには欠かせない人物だ。
「…ねぇ、何て呼べばいい?ハルって読んでもいい?」
恥ずかしげに言った梨花の顔は少し赤くなっていた。
「…別に構わないけど。」
「ホントに!?ありがとう、ハル!」
こうして、春華の学園生活は始まった。春華自身の仕事をやり遂げる為に…。
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