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「え?」
今度は男がきょとんとする番だった。
「まあ、あたし自身単独での仕事は初めてなんですけどね。師匠に【独立しろ】と言われちゃって」
「似合わないですね……」
「あなたには言われたくないですよ」
「本当なんですか?」
「本当なんです」
しばらく二人の間に沈黙が流れる。互いに次に何を話せばいいのかわからなくなってしまっていた。
「カナルタ……来ていたのか。こちらへ来い」
そう助け船を出したのは入口から現れたケルーシだった。マキュアが一緒にいた時に比べるとカナルタへの当たり方が多少厳しかった。
「マキュアが言っていたが、依頼があるまでにパートナーを見付けておけとの事だ」
ケルーシは受付の向こう側に座ると紅茶を出す事もなく話し出した。
「パートナーですか?」
「そうだ。お前一人だけではここの依頼をこなすのは大変だろう。マキュアがお前に見せていたものは序の口だけだったからな」
「そうですか」
「それとそうだ」
ケルーシはせせら笑いを浮かべてカナルタを見た。
「相手はよく選ぶんだな。相手次第では最初からとんでもない依頼を任せてしまうかもしれん。あとはパートナーがいないなら誰かの部下になるのもよかろう」
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