一介の盗賊

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「まあ、ざっと今日の収穫はこんなもんかな」 女は狭い部屋にばらまかれた山のような金貨を見て満足げに頷いた。臍が見えるくらい短く、そして白いシャツに黒いボレロを着用している。 短い半ズボンには短い刀が差してあり、いかにも隠密といった感じの女だった。 赤紫に染められた髪がわずかなロウソクの明かりに照らされている。 「まあ、あの高利貸しのツルバって奴はずいぶん貯めこんでたみたいですしね。それにしてもやっぱりマキュア様はすごいです!」 金貨の山から突然もう一人の女性が飛び出す。まだ垢抜けてないような女性だった。 茶の髪とそれに合った無難な洋服を身につけている。 「全くあんたは……」 マキュアと呼ばれた女性は頭をふりつつ溜息をついた。 「こんな事でいちいち喜んでるようじゃまだまだよ。なにせここはしくじればタダじゃ済まない世界なんだから。ってカナルタ!」 カナルタは金貨を両手いっぱいに持って宙に放り投げて遊んでいたがマキュアの言葉でびくっと止まった。 「人の話はよく聞くんだね。あんたがこの闇先案内人からクビになってからじゃ取り返しがつかないんだからね」
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