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カナルタはもう19才になる立派な女性だった。物心がついた時にはすでにマキュアが側にいた。
しかし彼女は、マキュアの足を引っ張る事はあれど、少しも役にたった気配はなく、マキュア自身も
「あんたは19才だけど、体は15才、頭は8才だね」
と正面から、かつ面をしっかりと向き合わせた状態でカナルタに言った事すらある。
マキュアはこの町、【クラー】に存在するならず者が集まるギルドこと【闇先案内人】の言わば看板娘だった。
闇先案内人の専売特権のような隠密業は、様々な人間から重宝されている。
だからこんな光景も、カナルタにとってはなんて事のない、石ころのような普通のものだった。
「そろそろあんたも独立を考えなきゃね。いつまでも、あたいと一緒にいるわけにはいかないだろう?」
マキュアはカナルタに一本一本釘を刺すように、きつい口調で続ける。
「それに、あたいはあんたより8才若い時から稼いでいたんだ。あんただってもう独立しても罰は当たらないだろ?」
「考えておきます」
カナルタは、金貨に映った自分の顔を見ながら生返事をした。
「考えておきます、じゃないよ。あたいは真剣なんだ。だいたいあんたがギルド内で、なんて噂されているか」
「だいたいは分かってますよ」
「だいたいかい……とりあえず、上にはあたいから言っておく。ちゃんと覚悟を決めるんだね」
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