国盗りの罠

3/8
前へ
/17ページ
次へ
「ZZzz……」 「おい、黒羽」 「ZZzz……」 「黒羽!!」 「ZZzz……」 「いい加減に起きろー!!」 全く起きない黒羽に対して牙は黒羽の眠る木製のベットごと黒羽をひっくり返す。 「いてぇ!!何すんだよ!こちとらまだ傷が塞がってない病人なんだぞ!!」 床にベットごと転がされた黒羽はその漆黒の瞳に眠気と怒りの色を織り交ぜて牙を睨み上げる。 あれから黒羽は流石に血の流しすぎで倒れそれから3日ドルマナにある木造の小さな安宿屋で休養をとっていた。 ちなみに黒羽を運んだのは牙であり、牙も黒羽と同様に大量の血を流していたにも関わらず牙はピンピンしていた。 「ドルマナ王が暗殺された」 「はぁ!?まだ俺は殺ってないぞ!!」 予測しなかった事態に驚き眠気も一気にさめた黒羽は立ち上がり牙に詰め寄る。 黒羽と牙の予定では黒羽が完治した後、王宮に忍び込みドルマナ王を暗殺、その後国庫から国宝を盗んだ後、隣国ゲルバ王国へ国外逃亡という計画だった。 ドルマナごと滅ぼすこともできたが無関係の国民を殺すのは寝覚めが悪く、殺すのは黒羽たちを騙したドルマナ王だけにしようと言うことになった。―刃向かう奴は殺すしかし無益な殺生はあまりしない―それが黒羽の信念だった。〔あまりしない〕のであって〔全くしない〕わけではないあたりあまり善人とは言えないだろう。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加