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「俺は稼がなきゃいけねぇんだよ!邪魔したら殺すぞっ!はげ!!」
「軽く酷いぞ拓巳…。つかさぁ何でそんなに稼ごうとする訳?ウチはお前1人位の生活費くらいあるし、それに保険金とか入ったんだろ?そこまで切羽詰まんなくてもどうにかなるっしょ?」
「だからってまるっきりお前の両親に頼れねぇだろ。それに、お前だってうちの両親が駆け落ち夫婦なのは知ってんだろ?
それで入る墓が無いんだ。
…だからさ、何年掛かっても良いから俺だけの力で墓立ててやりたいん…だ、よ……。」
自分の計画をいざ口に出してみてものの、恥ずかしさから言葉はどんどんと尻すぼみしていき、真っ赤になっているであろう顔を伏せる拓巳。そんな拓巳に対して雄護はというと……
「たっ拓巳ぃ~!お前は偉いっ、偉すぎる!!」
感動にうち震えながらぐりぐりと自分より低い位置にある拓巳の頭を撫でくり回した。
「いてぇっ、ちょっ…雄護止めっ…」
拓巳の制止も聞かず、雄護はまだ頭を撫で回してくる。それどころかより一層激しさを増している。
ブチッ
「いい加減にしろや バカ雄護がぁっ!!」
「ゴファッ!」
血管の切れた音と共に、拓巳のパンチは雄護のみぞおちに見事にクリーンヒットした。雄護はその場に倒れ込み、
「す…すんませんでし…た…。」
と言って力尽きた。
少しやり過ぎたかと若干の反省をしつつも、『どうせ雄護だし、まぁいっか』という結論に至り、拓巳は足取り軽くバイト先へと向かうのであった。
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