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突然の暴言に、扉のほうへ二人とも振り向くと、そこには見慣れた顔がいかにもうんざりとした表情で立っていた。
「新婚気分ってなんだよ!意味わかんねぇよ!」
声を荒げて抵抗する一夜を尻目に、クリスは「また来たのか」と呟いた。
「えー、えー来てましたとも」
呆れた声音で、栗栖は食卓を囲う二人に近づき、手ごろの椅子をひっぱり、どかりと座った。
完全無視された一夜はぷくりと頬を膨らませ、
「栗ちゃんの分はないからな」
と言い置いて、食事を再開した。
「ちぇっ。なんだよ。」
文句を垂れつつ、二冊の本をクリスに差し出した。
クリスは無言でその本を受け取ると、脇に置いておいた本の上に積み重ねた。
どうやら積み重なった本の山は、それぞれ言語が違うようだ。
「何でそんな、いろんな国の本読んでんだ?」
一夜の疑問にクリスが口を開くより早く、楽しげな声が割り込んできた。
「ソレがさ!今更、語学のおべんきょーだっ・・・ぐほっ!!」
皆を言う前に、栗栖の口には一夜お手製の卵焼きがつっこまれていた。
突っ込んだのはクリスだ。
「勉強?言葉の?」
確かに今更だ。
この森には一夜しかいないのだ。一夜と話せれば、言語など学ぶ必要もない。
ということは。
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