秘め始め

3/6
314人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
バタンと大きな音をさせて、扉が開いた。 「一夜!」 クリスの声が、耳を劈く。 一夜は身を起こし、振り返ると、息せき切らしたクリスが立っていた。 「すげぇ。スーパーマン?」 「何を言っている」 クリスは、ふんっと鼻息荒く、一夜の傍に寄ってきて、威圧的に見下ろしてきた。 「呼んだだろう?」 ふわりと抱きしめられながら、耳に優しく紡がれる言葉に、 「・・・・・・・・・うん」 真っ赤になって、それでも、握り締めたクリスの服を離そうとはせず、一夜は俯いた。 包まれた温もりが、優しく胸に染み入る。 クリスの胸に鼻をすりつけ、匂いをかぐと、ひやりとした感触とともに、森の匂いがした。 一夜の身体を抱きしめていた掌が、優しく身体をなでる。 おでこに触れる、柔らかい感触に、一夜は自然と上を見上げた。 深い蒼の瞳を目に収めると、そのまま瞳を閉じて落ちてくる感触に酔う。 触れるだけだった唇から、舌が伸び、一夜の唇を促す。 少し隙間を空けると、するりと中へ滑り込んできた。 「ふっ・・・・んっんっ」 必死にクリスの舌を追っていると、クリスの手が不埒に動き始めた。 「!・・・・ちょっ」 顔を背けることで、クリスの口付けから逃れると抗議の声をあげる。 けれど、追ってきた唇に再び捕らえられ、抗議は無に帰した。 どさりと音を立てて、ベッドに横たえられ、もうどうにでもなれとばかりに、一夜はクリスの首に腕を回す。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!