プロローグ ―縛―

5/6
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
    逃げねば…と思ったが この施設には未だ 少なからずも仲間が張りつけになっている筈だ。     助け出してやらないと…と 自らの身体に力を入れ 刺さっていた杭を身体から外した。     監視員は全く気付いていない。   監視員の隙間を通り抜け 他の木々を見回っていた。     すると、杭で張り付けられている 仲間のヴァンパイア達を見つけた。   表情はもう、限界といった位 青ざめていて、魂が薄れてきている。     頭に名案が浮かんだ。   俺の恋人のガブリエラを呼び、 回復魔術をかけさせれば 皆が助かるのでは無いか?と。     だが、ガブリエラは妊娠をしている… 無理をさせては負担がかかるのでは無いか… いや、仲間を助けなければ…     咄嗟に角笛を吹いた。     この場を乗り切らないといけない その焦りが行動に出てしまった。     強い北風が葉を揺らした。   俺は、人の気配を感じ、 背後を見た。     ライカン像の前に 苦しそうに膨らんだ 腹部を押さえている ガブリエラが佇んでいる。    
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!