衣野 慎吾

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  放課後、愛想笑いで対応する事にも疲れたあたしはやっと帰れる事に安堵して帰り支度をしていた。 「衣野さぁーん!」 「今日これから暇ー?」 そこへ同じクラスの女子4人が満面の笑顔であたしの席を囲んで来る。 違う小学校出身の子達だ。 色々とかったるいから部活には入らない予定で、前の彼氏とも別れたから今日は特に予定は無い。 でも仲が良い訳ではない子達に暇かどうか聞かれるときょとんとしてしまう。 「暇なら一緒に遊ぼー?」 「入学式の日から超可愛いって思ってて友達になりたかったんだよねー」 「彩芽ちゃんて呼んでもいー?」 あたしと距離を縮めようとしているのか、親しげに話し掛けてくる彼女達に少し驚いたけど、新しい友達が出来そうなのに断る理由なんて無い。 「うん、いいよー」 笑顔で応じると、彼女達はパアッと明るい笑顔を見せる。 「やった!じゃあ彩芽ちゃんの家行きたーい!」 「ね、行っていいでしょ!?」 あー……なるほど、なるほど。 はいはい、そういう事ね。
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