浅羽 秋穂

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「中学でも成績良いんだろーな、彩芽はー。俺なんか体育以外オール2取る自信あるよ」 「そんな自信つけんなっての!」 「あははは!」 直哉とあたしは『整列したまま教室へ戻る』という規則を破り、下らない話をしながら並んで歩いた。 あたしと同じ位の背丈の直哉は、男子の身長順では真ん中辺り。 「つーか彩芽が頭良いとか詐欺だよなー。絶対勉強しなさそうなタイプじゃん」 「直哉だって絶対勉強しなさそうなタイプじゃん。そして本当に勉強してないっていう」 「一応してるよ!してんのに駄目なんだよ!」 「あははは!最悪じゃん!」 直哉と話してると、少しでも夏樹の事を考えずに済む。 やっぱり直哉と一緒に居ると楽。 直哉と笑い合いながら階段を上がって1階と2階の間の踊り場を踏んだ時、視界に飛び込んできたものに胸が跳ね上がった。 2階の廊下を歩いて階段を横切って行く3年生の列の中に夏樹が居て、バッチリと目が合ってしまった。 夏樹は真顔であたしと直哉を見つめている。 『……その好きな人って……早川……?』 あたしは露骨に夏樹から目を逸らしてしまった。
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