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あたしとキモい先輩達は声が聞こえた背後へ一斉に振り返って、階段の上を見た。
そこには3年生男子が一人立っていて、ゆっくりと階段を降りてあたし達との距離を縮める。
踊り場の窓から差し込む逆光の中に居たその人を見た瞬間、これまでの人生で最高潮レベルに胸がときめいた。
スラッとした長身、動くと微かに揺れる漆黒の髪。
格好良さと美しさを兼ね備えた、知性的で上品なお顔。
「あ、浅羽……」
その彼を見たキモい先輩二人は少し気まずそうな表情になった。
「その子、衣野の妹だろ?衣野やそのグループにヤキ入れられても知らないぞ」
突如現れた彼が穏やかな物言いで忠告すると、キモい先輩達は苦い顔を見合わせる。
「ご、ごめんごめーん」
「衣野の妹が話題になってるから興味あっただけだし」
キモい先輩二人組は笑顔を引き攣らせながらあたしに弁解し、逃げる様に階段を駆け降りて行く。
「大丈夫?何か変な事されたりしなかった?」
何が何だか分からなくて放心状態で棒立ちしていると、後から現れた美形な先輩から甘い声を掛けられた。
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