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何だか“一期一会”という諺を今になって痛感した。
秋穂との別れも淋しい。
やっと打ち解けられ始めた所なのに。
でも秋穂は、大好きだった夏樹の弟。
夏樹も秋穂も、あたしとは境遇が合わない浅羽家の人間。
そして。
「……最後だから言うよ。……今日のあんたは普通の女の子って感じで、凄く可愛かったよ。……可愛くて、楽しくて……凄く好きだった」
あたしに恋してしまった男の子。
その純粋な気持ちには応えてあげられない相手。
だから、今日でお別れ。
「……ありがと。……秋穂くんも今日は普通の男子って感じだったよ。……好きになってくれてありがとね」
あたしは精一杯の笑顔を返して、秋穂に素直な気持ちと感謝の気持ちを伝えた。
彼は名残惜しげな切ない表情であたしを見つめ返してるけど、どうしようもない。
「なるべく夏樹と仲良くしてね。バイバイ」
「……じゃあね……彩芽」
夏樹が卒業するまであと半年あるから、夏樹とは学校で顔を合わせる事はある。
でも、本当に終わった。
あたし達は未来へ進む。
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