衣野 慎吾

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  「うおおおお!最っ高!」 帰宅すると玄関には男物のスニーカーが沢山並んでいて、2階へ上がるとお兄ちゃんの部屋から下品な雄叫びが聞こえてきた。 「藤沢ユリやべー!何このヒップライン!マジ堪んねー!」 「んなもんアユミのGカップには及ばねぇよっ」 「いやいやナナエちゃんの(くび)れだろー!」 そっとお兄ちゃんの部屋のドアを開けて中を覗いて見ると、お兄ちゃんが友達と5人で興奮しながらエロ雑誌を堪能している。 「ちょ!このポーズ反則だろ!」 「やっべ鼻血出そう!」 「アユミ超愛してる!」 思春期の男達のむさい空間を目の当たりにして、あたしの顔はドン引きで引き攣ってしまった。 キモい、キモ過ぎる。 あれが『爽やかな王子様』とか『浅羽先輩よりカッコイイ』とか騙され過ぎでしょ。 あたしは顔を引き攣らせたまま、お兄ちゃんの部屋のドアを静かに閉めた。 男が女の身体に興味津々なのは当然だし、お兄ちゃんの友達は皆明るくて良い人で好き。 だけど浅羽先輩はエロ本なんて見ないだろうから、野獣みたいなお兄ちゃん達にはドン引き。
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