衣野 慎吾

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  こんな始まりの中学生活、とてもじゃないけど穏やかなものではなかった。 「付き合ってくんないかな?」 放課後、帰る為に玄関へ向かって1階の廊下を歩いてると、見た事も無い男子に告白された。 グリーンのネクタイをしているので2年生の先輩だ。 1年生男子はレッド、3年生男子はブルー、とストライプ柄のネクタイを学年別に色分けしてあるから直ぐ見分けが付く。 因みに1年生女子はレッド、2年生女子はグリーン、3年生女子はブルーのチェック柄リボンだ。 「ごめんなさい。お互いの事よく知らないんで」 あたしは一応微笑を見せながらお断りして、そそくさとその先輩から離れた。 告白されて断る事には慣れてるけど、凄く気を遣うから精神的に疲れる。 ていうか話した事も無いどころかあたしは入学したばかりだし、あなた誰?っていう。 溜息を吐いて、玄関までの通り道にある体育館の正面口前を通り掛かった。 「ああん、超かっこいー!」 「3年生なのかな!?」 「キャーキャーキャーッ!」 大勢の女子生徒達が体育館の正面口を塞いで何だか騒いでいる。
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