衣野 慎吾

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その女子達が騒いでる原因が無性に知りたくなり、好奇心で体育館に近付いた。 そして女子軍団の背後に立って爪先立ちしながら首を伸ばして、女子軍団の頭上から体育館の中を覗いて見る。 こういう時は身長あると便利。 どうにか見えた体育館の中は、コート半分は卓球部が練習中で、もう半分のコートは男子バスケ部が練習中の模様。 この女子達が見てる方向に居るのは男子バスケ部。 「衣野センパァァァイ!」 「頑張ってぇぇぇ!」 『衣野先輩』? 男子バスケ部の『衣野先輩』? うちの兄貴の事かい! 「キャーキャーキャーッ!」 「衣野センパイ頑張ってー!」 「あーもー最っ高ー!」 ぴょんぴょん飛び跳ねながら興奮するその女子達は、明らかにお兄ちゃんの姿しか見えてない。 彼女達の悲鳴みたいな熱い声援と視線の先には、チーム戦で練習中の男子バスケ部。 そしてボールをキャッチしたお兄ちゃんがドリブルで攻めてシュートを放ち、そのボールがネットにスパッと入った。 「キャアアアアアアア!」 「キャーキャーキャーッ!」 うるさいな……。
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