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ハルが急にゲームセンターに行きたいと言いだした。なんとなく、太鼓ゲームがしたいらしい。
「私太鼓ゲーム苦手~」
「大丈夫、俺もだから^^」
「だめじゃん!!」
そんな事を言いながら細くて狭い道を歩いていると、ハルが急に声をはって言った。
「桜井さん、左側来て。」
「えっ」
私の腕を強引に掴み、ぐいっと左側に引っ張る。
なに??
なんで左側なの??
私にはわからなかった。それにあまり気にならなかった。
そして少し歩いてからまた…
「今度はこっち」
と言って私の腕を右側に引っ張る。
その道は狭い道だが車がよく通る道だった。
「どうかしたの??」
「なんで私こっちなのかなって…なんでなの??」
「え、あ~、車とか危ないでしょ??だから…」
少し顔をそらし、ちょっと言いたくない感じでハルは言った。
それを聞いた私はうつむき加減に笑っていた。
嬉しかった。私に気を使ってくれたハルの優しさがいとおしい。
「あ、あった。あれ!!」
「本当だ、あった。」
ハルがスルッと人混みに紛れる。
広い店内にはカップルもたくさんいた。
「あ、はぐれちゃう。」
どんどん進んでいくハル。
「あ、ごめん、はぐれそうだね。」
そう言ってハルは私の腕を掴んだ。
手じゃないところがハルらしかった。
それでも私はかなり緊張していた。少し手が震えた。
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