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バタバタと支度をする私。母親の怒鳴り声。
「ドタバタとうるさい!!何やってんの!!」
「約束の時間に遅刻しそうなの!!」
「昨日のうちに準備しとけばよかったでしょ!?」
「行ってきま~す」
なんとかセットをして駅に向かう。今日は、私と春一…あだ名ハルの最後のお出かけだ。
こんな田舎の商店街でも、もう人がたくさん歩いていた。
春休みだし、子供もたくさんいた。
「桜井さん??」
あ、ハルはもう着いていたのか…
「ごめん、遅くなって」
「うん、10分遅刻♪」
う…そんなはっきり…
「じゃあ…電車乗ろう!!桜井さん。」
「あ、うん^^」
私たちは付き合っている訳じゃない。
ただ、中学校から仲がよくて、一緒に話したりする事が多かった。
あと、私はハルの事が好きだ。
ハルの好きな人は多分私じゃない。きっと他に好きな人がいるんだと思う。
それでもよかった。
私はハルを見ているだけで幸せだったから。
桜色の電車がホームに入ってくる。
少し雨に濡れて寂しい色をしていた。
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