0人が本棚に入れています
本棚に追加
嗚呼…歩くたびに時間が過ぎてゆく。
ハルとの別れは避けられない。
そんな事を考えていると、ハルが私に声をかけた。
「寒くない??ちょっと俺薄着だから寒いんだけど…桜井さんは大丈夫??」
「うん。コート着てるし、平気だよ。」
「そっか^^あれ、雨やんでない??」
地下道を抜けると少しお日さまが顔を出していた。
明るくて、でも少し雲がかった空は私の心を映す鏡のようだった。
「なんか、暑い。」
さすがに春のこの気温にロングコートは暑かった。
雨やむのかよ。
思わずツッコミたくなるが、天気予報を見ずに来た私が悪い…orz
「大丈夫??脱げばいいじゃん。」
「手に持つのやだ!!」
と言いながら早速脱ぐ。
やはり荷物になるしロングだから面倒くさい。
「あ、俺あのデパート行きたい!!で、なんか買うw」
「なんかって何だよ^^;」
「うーん…あっ!!」
カタン
っとハルがビニール傘を落とす。
「わわ!!」
踏んじゃう!!
と思った瞬間…
グキッといい音が私の足から聞こえた。
「いっ!?危なっ!!ごめん、踏みそうに…」
もう少しで傘を踏んでしまうところだった…
「大丈夫!?今ひねらなかった??」
ハルにグキッという音は聞こえなかったようだ。
よかった…
「へ、平気!!」
カッコ悪~'д;`
ハルは心配性だ。
だが、自分じゃなくて、すぐ他人の心配をする。
「でも…ごめん、俺が傘なんて落とすから」
何言ってるんだか…
「そんなの気にしてどうすんの~」
「えっと…あ、靴屋だ。見たい。」
誤魔化しやがった。
「お客様、どのような靴をお探しですか??」
あ、店員。
私は店員に近づかれるのが苦手だった為、私は黙りこんだ。
「あ~、えっと、ただ靴が欲しいなあって。」
ハルは普通に返事をした。黙らないところが凄いと思う。
「では、今人気なのはこのようなもので…」
それから先は覚えていない。多分考え事をしていたんだと自分で思う。
「あのっ、彼女さんはどう思われますか!?」
え…私??
少し答えにくい空気が流れる。
「あ、私はそれがいいと思いますっ」
一応答えたけど…ハルはどう思ったんだろうか。
「では、サイズ探して参りますね。」
…。
喋れない。気まずい。
「ごめん、俺なんかの彼女じゃないのに…」
ぇ…そっち??
「ううん、ビックリしただけだからいいよ^^」
ハルのちょっとした言葉に少しおどろいた。
門限まであと2時間…
何かが変わるかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!