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少し歩いたあと、私が行きたかった大きな雑貨屋さんに行った。
いろんな商品がある中、ハルはお菓子コーナーに夢中になっていた。それは桜特集。
「桜餅!!桜クッキーまで…あ、桜砂糖??へぇ…」
私は桜餅が嫌い。独特の香が駄目だった。
「ねぇ、桜井さん、桜クッキー食べよう??」
え…
私は内心そう思っていた。でもハルの輝いた瞳に負けてしまった。
「う、うん。あ、私これ友達へのお土産に買う!!」
最近流行のバンド、【猫目-Cat eye-】のイメージキャラクター【猫田さん】は、私と友達の里村隆太郎が最近ハマっていた。
「誰にあげるの!?」
「里村隆太郎。わかるよね??隣のクラスの…」
「わかる、もしかして付き合ってる!?」
「ち、違っ;」
「なのにあげるの??」
え…??確かに付き合ってないし、ただ何度か遊んだだけだけど。
駄目??
お土産を渡す理由??
ずっと考えていた。
休む為の公園へ行く途中も。
「はい、クッキー」
「ありがとう…」
一口でいくのは覚悟がいるので、ガリッと少しだけ噛んだ。
やっぱり桜っぽい香はあったが、思った程不味くない。
「何??その驚いた顔・・;もしかして桜だめ??」
「だめ…だったw」
「え!?先に言ってよ!!なんで駄目なの??あ…理由なんてないか」
理由??あるけど…
「ねぇ、なんで理由はないって思うの??」
「だって理屈じゃ証明できない事あるでしょ!?好き嫌いに理由がないってよくある事じゃん??」
そっか…
理由がなくてもいい事があるんだ。
ハルの理論はとても鋭い。なんだか、ハルが遠くに感じられた。
私は3月生まれ、ハルは4月生まれ…。
私と約1年誕生日が違う分、ハルは私より断然大人っぽかった。
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