詩)進めない。でも進め。

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少年は足を止めた 見上げた空 輝く月 微笑みとともに淡く光り 森の中の少年を照らす 闇に浮かぶ白い着物 対照的な漆黒の髪 夜に溶けてしまいそうで 瞬く星の数を数えた 暗がりを脱け出せないが故 太陽の下は眩しくて それでもこがれて止まない 温もりへ差し伸ばす毎に 熱を奪われる両手 雲は何処かへ流れ 少年は青年へと 髪と同じ色を纏い 夜明けへと消えた背中 背負ったモノが足を掴む 青年の旅は続く 遥か上から見下ろす月 冷ややかな青白い光 露【あらわ】になる森の中の青年 艶めく黒髪 はためく黒衣 夜から染み出た様な出で立ち 影の群れへと紛れて消える 知らず、安息を求めて 臆病になった青年 太陽は暖かく、熱い 瞬く間に身を焼かれる 求めるものは昔と変わらず ただ、裏腹が多くなっていった。 積もる想いは重い 心の上に降り積もり 細かいヒビを走らせる 剥がれ落ちた一欠片 姿はかつての少年そのもの 中身は押し込められていたモノ 少年になった感情は 喉が痛めど限りに叫ぶ 『お前の望みが僕の存在 此処に居ることが既に苦痛 元の一欠片 僕の望みは戻ること その為お前は叶えないと 願い【僕】に気付いてかなえないと』 自身を嫌う青年に 必死の叫びは届かない 迷いに曇る瞳には 苦しむ姿は映らない 動ける範囲は鎖の届くまで 制限の中で 少年は壊すことにした 青年が大切に思うものを f 20090802
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