波紋

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  あなたの心に一滴の水滴が落ちていく  僕への疑いという名の毒が  澄んだ泉を波紋と共に染めていく      ほんの少しの嘘でも  ほんの少しの裏切りでも  あなたは許せなくて  僕を置いて歩き出した  サヨナラという言葉の波紋を描きながら      瞳にうてして街のきらめきを  「まるで夢のよう」あなたはささやくから  今年も雪が二人を包んでくれると信じていた      昨日までいたあなたはいなくて  昨日まで信じていた夢がガラスのように砕け  あなたは僕が信じられなくて  あなたは僕の言葉に耳をふさぎ  僕は君を引き止めるすべをしらなくて  泉の底にのまれていく  僕は心を閉じ込めたまま     泉は波紋を描く―――      
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