§WIND‡SONG§

純白の翼と汚れた旅人

「まず初めは参加者方の知識を試します」

そう老人が告げた瞬間、会場の歓声はタメ息へと変わる。

やはり文武両道を求めているのだろうか。

しかし、俺には数日間培ってきた知識がある。

獄中生活の大半をこれに費やしたと言っても過言ではない。

自信はある。

「では、問題。
世界中でノワールを持つ者は七百九十八人とされている。
これが正解だと思う方は私が手を挙げている方へ移動してください」

よし、もらった。

ノワールについてはブランシェールに関連してるから知識は完璧だ。

ノワールとはブランシェール程大きくなく、薄紫色の翼だ。

それを持っている人間の数は七百九十六人。

よってこの問題はウソだ。

俺は老人が手を挙げている方とは逆の方へ向かった。