プロローグ

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 ……息が苦しくなってきた……  ……視界が薄れていく……  ……体に力が入らない……  ……父さんや母さんの泣声が聞こえる……  分かった……私はもう死ぬんだな……。  明日はたしか高校の入学式……。  ちょっと体調か良くなったからって変な期待を膨らませた私がばかだった……。  身体が弱かった私は学校には行けず、ずっとこの病室で育ってきた。  薬品の臭い、白い天井に名札が下がったベッド……見慣れた部屋だ。そして今私はこの見慣れた部屋で、最期を迎えようとしている。  ……。  最後に私は壁に架けてある高校の制服を見た。  あの制服を着て、登校したかったし、授業を受けたかった。  ……それに何よりも……
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