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部屋に戻ると俺達はたわいもない話をした。
今日どんな事があったか。
何を感じたか。
様々な事をお互いに話した。
「そういえば、梁(リョウ)はちゃんと社長やってる?」
紗綺もここに来る前は同じ会社で共に仕事をしていたのだ。
「当たり前だ。梁さんは梁さんなんだからな」
「それって理由になってないよ」
「いいんだよ、これで」
「中高生の頃はあんなに頼りなかった梁が立派な社長だなんて、時間が経つのは早いね」
「それを言うなら彩香(アヤカ)もだろ。あの天然ボケがよくまともになったもんだ」
「そうだったね」
そう言って優しく微笑む。
紗綺は会社の話をしている時、一番綺麗に笑う。そう思うと過去に対して少し嫉妬するが、短い間でも共に仕事が出来た場所だから…
「あ、俺明日は出張で暫く来れないからな」
「そっか。ちょっと寂しいな。でも、仕事ばっかりしてないでたまには体も休めてね」
「わかったよ」
何時も最後は同じ会話だな。
そう思いながら俺は部屋を後にした。
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