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息吐く暇もなく、その人物から繰り出される幾多の拳。
やはり"彼"は銃撃戦よりも肉弾戦の方が得意な様だ。
繰り出される脚や拳を避け続けていると、姿の見えないもう一人から立て続けに撃たれた銃弾。
反撃してみせろ、という事らしい。
相手との距離を少しとった後グローブに力を込め、改めて相手に向く。
その間に相手も刃渡り20cm程度のナイフを取り出していた。
束の間の静寂が一帯を包み込む。
何処からともなく二人の間に投げられた、火を着けて間もない煙草。
"……ジュッ"
さぁ、第2ラウンドの始まりだ。
煙草が地面に着くと同時に姿の消えた二人。
正確には着いた瞬間、二人共物凄い速さで移動しただけなのだ。
一瞬も気を緩める暇のない攻撃の応酬。
拳を繰り出せばナイフで止められ、蹴りをお見舞いすればグローブに止められる。
こんなやり取りが何分続いただろうか。
グローブを操っている人物――海(カイ)に疲れが見えてきた。
対する人物は、まだまだ余裕そうに見える。
その時―――
"パンッ――---"
うかっかり忘れていた。もう一人居るという事を。
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