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「…俺の負けだよ」
そう言いナイフを退けてもらう。立ち上がって服についた埃を払うと、所々が破けている事に気が付いた。
「(あーぁ、このスーツも高いのに…)」
始めは派手に汚れる度に嘆いていた海だったが、今ではもう慣れてしまったらしい。
「今回は案外持ったな」
「拓也(タクヤ)……お陰様で慣れてきたよ」
いつ敵が襲って来るか分からないこのご時世で、体を鈍らせる事がないのはありがたい。
ありがたいには、ありがたいが……
「拓也、次からは時と場を考えてくれてもいいじゃん…」
「考えてるだろ。ちゃんと"護衛がいない場合"の訓練になっている。それに、人気の無い場所でやっている」
なってるといえばそうかもしれない。
けど…
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