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「わざわざ人が酒を飲みに行く時に襲って来なくてもいいだろ!」
「襲ったのではありません。ただの訓練です」
「どっちも変わんないよ!!!」
突如暗闇から現れたのはピストルで遠くから海を狙い打っていた人物、愁慈(シュウジ)だった。
突如現れたというと多少語弊がある。ただ、闇に紛れる様な漆黒のスーツを着ていたからそう見えただけなのだ。
そしてその彼は海が一人で酒を飲みに行く時に限って訓練という名で襲って来る。
ただ散歩している時には滅多にこんな事はないくせに…
「いいじゃないですか」
「よくない!」
「それより、今回もあなたの負けです。ちゃんと奢って下さいね」
「今回は二人だったんだから、負けてもしょうがないじゃん」
そう。そして、この訓練という名の襲撃で負けた方――つまり一本取られた方は勝った方に酒を奢るのがいつの間にかルールになっていた。
「暗殺者が一人とは限らねーぜ」
「という事です。諦めて下さい」
「………はぁ、わかったよ」
そして三人は行き付けのバーへと向かって歩いて行った。
そこで海が酔い潰れたのは言うまでもない。
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