心、音にのせて

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舞い落ちる雪 永久に巡り 出会いを繰り返す 別れる度に 出会いを知って 愛しさを知っていく… 弾き終えると、今度こそ後片付けを始める。 先程の男は、曲が終わると型通り拍手をして去って行った。 袋に移した小銭の意外な重さに驚きつつも、家へと帰るべく、駅へと足を向ける。 すると、一本の電灯の下に一人の男が立っていた。 「さっきはありがとう」 と言うなり何かを山なりに投げて来る。受け取ってみると、それは温かい缶に入った飲み物だった。 「あ……さっきの人?」 「うん。あ、暗くて分からなかったか…」 「でも声聞いてて何となくわかったから大丈夫」 その男……というより男の子は、薄い茶髪の逆立った髪で、コートにジーンズというラフな格好をしていた。 誰かがわかると警戒心が薄れたので、私はその人に歩み寄った。 .
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