心、音にのせて

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「君は中学生?」 「よくそう言われるけど、俺は高校生。高校二年生ね」 「二年なら私もそうだ。同い年だね」 私も電灯の下に来ると、投げられた飲み物のプルタブを開けて一口、口に含んだ。 それはレモンティーで、甘い香りが口一杯に広がっていった。 ふう、と一つ息を吐いて顔を上げると、ちょうど目が合った。 「さっき…最後に歌った曲って誰のなんて言う曲?」 「あぁ、あれは………"sei"の"路"って曲だよ」 「sei…聞かない名前だね。まだメジャーデビューしてないの?」 「…多分デビューしないと思うよ」 持っていた楽器ケースを一旦足許に置き、うーんと軽く体の筋を伸ばす。そして持っていた飲み物を一気に飲み干すと、近くのゴミ箱に投げ入れた。 「じゃあ、そろそろ電車の時間だから」 「うん…今日は本当にありがとう」 もう既に歩き出していた私は、背後にひらひらと手を振りながら駅へと歩いて行った。 空からは先程の歌に誘われた様に、一片の雪がひらりと舞い降りてきた。
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