第一話 Chapter1

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男の親友はその女に好意を寄せていた。だが、その気持ちを伝える前に女は、男の元に行ってしまう。 いつしかその女にたいする好意は、憎しみと嫉妬に変わってしまっていた。 その男は、[男の親友の方]女の素性を親友から聞いた時、いままで心の底で溜まった憎しみが、一気に爆発した。 自分は魔女に好意寄せたのだと、自分が好意寄せた相手は、人と相容れない存在だったのだと、そして自分の親友はその存在と暮らして居るのだと。 優れた魔法使いだった男は、呪いをかけた。その呪いは周囲に人々に、その呪いの対象の本性を解らせる古い呪いを。 呪いはすぐに広まった。あれほど優しかった隣人達、知人、友が女の存在を否定し、迫害し始めた。 だが女が愛した男だけは、女を受け入れた。女はそれだけでも幸せだった。 男と女は共に故郷をでる決意を決める。 故郷を離れる準備を始め、幾日も迫害を耐え、ついに旅出の日を迎えた。 二人は二人だけの世界を目指し、旅立つ。 しかし、それは叶わぬ夢となる。 なぜなら二人の周囲の人々は、魔女を殺すための死の罠を仕掛けていた。太古からある魔女狩りの罠を。 魔女は存在(生きる)事さえ赦されなかったのだ。 女はすぐに捕まった。 二人は引き裂かれ、男は魔女をかくまった罪で処刑された。 女はすぐには処刑されない。 あらゆる責め苦を受け、あらゆる恥ずかしめを受けた。 女は絶望した。 この世に自分を認めてくれる人はもういない。女は憎んだ、大切人を奪ったのはこの世界の人間だと…
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