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§一・出会い§
「アキラ君、迎えに来たよ。遅くなってすまない」
養護施設に入所する前日、一人の男性が病院を尋ねて来た。グレーのスーツを着て漆黒の長い、背中の半分位まである髪を一つにまとめ、細い銀のフレームの眼鏡。その奥からは優しそうな濃紺の瞳。どこから見ても細身で上品なカッコイイ青年。
「おじさん、だぁれ?」
きょとんと尋ねた自分を青年は苦笑しながら答える
「まだ20代なんだけどね・・僕は草薙総一郎。君のお父さん、山科暁於の友人で君を迎えに来たんだ。」
お父さんの・・・?!
だって、お父さんとお母さんは一目に付かないように会社や近所の人達にだつて偽名の“佐藤”を使ってた。
だから自分も“佐藤秋良”と名乗って居た。
そのお父さんの友達だって!?
本名を知っている!
どちらかの追っ手か!?
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