悪魔、生誕

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 やっと気付いてもらえて、返事をくれた。 「ああ、ごめんなさい。俗に言う親子での区別をつけただけよ」 「……じゃあ、僕はあなたをどう呼べばいいの?」 「私の場合は女性だから、『ママ』か『お母さん』ね」 「…………ママ。ママがいい」 「ふふふ……いいわよ。  さあ、起きなさい。服を用意してあるから持って来てあげる。  さて、人間の姿になれるかしら? その悪魔の姿のままでは服も着れないし……」  悪魔の姿?  首を傾げていると、ママがしばらくどこかに消えていった。待っていると、細長い鏡と衣服を持って戻って来る。細長い鏡が僕の体全部を映し、それで自分の体がどんなものかを知る事が出来た。  ああ納得。  顔はママと似た造りの顔だった。でも、そっくりじゃあ、ない。目と鼻と口があるって事だけが似てた。輪郭はママと違ってふっくらとしてて、小さめ。茶色の髪が首の辺りまで伸びて頭全体を丸くしている。目は黒く、形は大きくて丸い。  胴体は……これはなんだろう? 円い形の山が二つ左右に並んでる。そして上半身自体が白く、細い。背中には黒い大きな翼。蝙蝠みたいに見えるけど、そうじゃない感じがする。…………がんばれば飛べるかな。  下半身の方は蛇だった。上半身とどうして違うんだろう。うーん……ま、いっか。これが僕の体であるなら、文句は無い。だってママが造ってくれたんだから。これがママの言う『悪魔』の姿なら、僕はそうなのだろうし。  さぁ、今はママの言葉に応えなきゃ。体内で巡る『力』を感じとる。これが何なのか、本能的にわかるけど詳しくは知らない。後で教えてもらおうっと。  ……ところで、僕は何になればいいのかな? 「ママみたいな人間の形になればいいの? 顔はママと違うけどそれでいいのかなぁ?」 「私以外の形でいいわ。できればそうね…………その顔は子供だから、身長は120ぐらいが良さそうだし、それがいいと思うわよ。  大丈夫よ。あなたなら出来る。私の子供だもの」  ママに言われて、イメージを思い描く。人間の形についての知識がある事に自分でビックリしたけど、ママから与えられていたものなんだろうと思ったら納得した。今の顔に合わせた小さな男の子の姿を思い浮かべて、体を変形させる。身長をあまり決めてはいないけど、多分120とかそれぐらいだろう。  
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