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ママには羽が無いから羽はしまった方がいいよね。背中の翼を体内に隠してみたけど、これでいいかな?
「どう?」
「ふふふ……いいわ。上出来よ」
ママが笑って、服を着せに近付いて来た。襟が上に立ってる灰色の服に、前部分は体半分ほどの幅で後ろ部分は体全部の幅になっている白いマント。所々というか、肩部分の端っこが跳ねてる。マントの表には木の蔓と葉の絵が入っていた。裏には蛇が円を描いて尻尾を咥えてる。
革靴も貰った。サイズもピッタリ。
衣服類がすぐに出て来たのは、ママが前から用意してくれてたからなのかな?
うん、ママが作ってくれたのなら気に入った!!
「力も知能も高く備わっている。…………素晴らしい成功ね」
「……? ママ、嬉しいの?」
「ええ!」
嬉しそうに笑うママの力強い肯定に、嬉しくなった。
自分はママの子供だと、確かに感じたから。
「ボクはデミウルゴス……ソフィアママの子供で悪魔……」
確かめるように口に出す。数回繰り返してみれば、納得が染み込んできて、自然と口の両端が上がった。
ママの笑う顔が僕に向いていたから僕も笑いかける。ママの手が頭を撫でた。それはどこかくすぐったい気持ちにさせられる。髪の毛が乱れるけれど、それ以上に撫でてくる手が気持ち良い。
抱き付きたくなって行動に移すと、ママは驚くでもなく抱き締め返してくれた。服越しなのに感じる温かさが『温もり』というものだと、今理解した。体験しないと分からないものってあるんだね。
「デミウルゴス。あなたは私が造った息子にして悪魔という存在。……ふふふっ……良い子だから、これからは私の言う事に従うのよ?」
「うん、ママ!」
どうして僕は最初から言語や知識を持っていたのかは疑問だったけど、これから知っていけばいいよね。僕がどうやって生まれたのかも、きっとママは教えてくれる。僕はママのお手伝いをしよう。出来る限り力になりたいから。
それに、自分を造ってくれた存在に従うのは道理だもんね。
素直に、笑って頷いてみせた。
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