第一章 過去を知る男

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「うまくいきました。」 「よし、メニューが来るときに水をこぼせ。」 醍醐はさらに指示を出し、双眼鏡でまりさの動きを確認する。 メニューを店員がもってくると、まりさはさりげなく水をこぼした。店員は慌て、まりさも慌てる振りをした。 「メニューは何を選びますか?」 まりさは小声で訊いてくる。上手く要領を得たようだ。 「ペスカトーレとコーンポタージュスープを頼め。とりあえずそのまま待つんだ。」 そう言って醍醐は時計を見た。 20時14分…醍醐はノートを取り出して、事細かに時間と今後のまりさの行動を書いた。 とりあえずこれで十分だ…醍醐は計画を順序よく進めていた。 30分には村上と待ち合わせている。少し遅れて行く感じで向かうプランだ。よし、行こう。 醍醐は車を走らせた。
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