第一章 過去を知る男

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       8 醍醐が港に着いて車を降りてからも、話してくるまりさに指示を与え続けた。 「今、料理が来ましたよ。」 「じゃあしばらく食べ続けるんだ。7分後にトイレに行け。」 「はい。」 そうして連絡を取ると、醍醐はトランシーバーのスイッチを切った。 少し歩くと、村上が立っていた。夜の港は人が少なく、寒く暗い。そこで村上はすごく寒そうにしていた。 「遅いじゃねぇか、どうしたんだ?」 「別にいいだろ。金はこの鞄に入っている。」 醍醐はアタッシュケースを置いた。 「はは、悪いな。あっ、煙草持ってないか?待ってるうちにもう無くなったんだ。」 村上は笑いながら言っている。 もうすぐ死ぬのにいい気なもんだ。最後に一服させてやろう…醍醐はポケットから煙草を差し出した。 「ありがとう。お前はいい奴だな、昔から物分かりがいいというか、いろんな要求をよく飲み込んでくれたしな。」 村上は煙草を吸いながら醍醐に背を向け、話し始めた。醍醐はそっと拳銃を取り出し、村上に向ける。だが村上は気付かずに話を続ける。 「また向こうに着いたら連絡するよ。お前は一生の仲間だからな。それから…」 村上が振り向くと、表情から血の気が引いていた。 「お、お前…」 そう言いかけた時、醍醐は引き金を引いた。
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