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醍醐が港に着いて車を降りてからも、話してくるまりさに指示を与え続けた。
「今、料理が来ましたよ。」
「じゃあしばらく食べ続けるんだ。7分後にトイレに行け。」
「はい。」
そうして連絡を取ると、醍醐はトランシーバーのスイッチを切った。
少し歩くと、村上が立っていた。夜の港は人が少なく、寒く暗い。そこで村上はすごく寒そうにしていた。
「遅いじゃねぇか、どうしたんだ?」
「別にいいだろ。金はこの鞄に入っている。」
醍醐はアタッシュケースを置いた。
「はは、悪いな。あっ、煙草持ってないか?待ってるうちにもう無くなったんだ。」
村上は笑いながら言っている。
もうすぐ死ぬのにいい気なもんだ。最後に一服させてやろう…醍醐はポケットから煙草を差し出した。
「ありがとう。お前はいい奴だな、昔から物分かりがいいというか、いろんな要求をよく飲み込んでくれたしな。」
村上は煙草を吸いながら醍醐に背を向け、話し始めた。醍醐はそっと拳銃を取り出し、村上に向ける。だが村上は気付かずに話を続ける。
「また向こうに着いたら連絡するよ。お前は一生の仲間だからな。それから…」
村上が振り向くと、表情から血の気が引いていた。
「お、お前…」
そう言いかけた時、醍醐は引き金を引いた。
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