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「だって、あんたは俺より大それた事をしたじゃないか。人殺しをさぁ。」
「あれは奴が勝手に死んだんだ。私は悪くない。」
そう言っても村上はニヤニヤと笑っている。
「でもそんな事を誰が信じるかな?お前は今や社会的地位もある、人殺しなんて周りが知ったらどうなるか…探偵さんでも人殺しはいけないでしょ?」
村上は醍醐が思った通り脅迫してきた。
小者のくせに…醍醐は殴ってやりたい気持ちだったが、これ以上変な形で奴に関わると良くないと悟った。
「いくら欲しい?」
醍醐はまるでドラマなんかでよくある陳腐な台詞を言った事で自己嫌悪に陥った。
「一千万で手を打とうか。そんなけあればしばらくは大丈夫だ。」
「わかった。用意できたらまた連絡する。」
醍醐は心にもない言葉を返した。金を渡すなんて全く考えていなかった。
「さすがに話が早いな。じゃあよろしく頼むよ、探偵さん。」
村上は立ち上がり、醍醐の肩を叩いてゆっくりと去っていった。
人間の屑が…醍醐は苛立ったが、思ったよりも冷静だった。醍醐は、村上の抹殺以外の選択肢を選らばなかった。
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