最終章 名探偵の条件

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       27 「志津里さん、どうしちゃったんです?料理に手をつけないで…」 「五月通り」にて、カウンターに座って悩む志津里に大将は思わず声をかける。 「いや、犯人のアリバイを崩す決め手が無いんだよ…」 「さっきからその書類みたいなもんずっと見返してますもんね。」 「何か犯人の知らない事が起きてるはずなんだ…ここに書いてないような。」 志津里が見ている数枚の書類はすでにくしゃくしゃになっている。志津里の悩みの度合いをはっきり表していた。 「大変ですね。」 「昨日から徹夜で見てるんだけど、掴めないんだよなぁ…そういえば今日はお客さん多いね。」 「そうなんですよ。最近バイトの女の子雇ったらサラリーマン人気に火が着いてね。」 大将がふと奥のテーブルに目をやる。まだ二十歳位の女の子が愛想良く客から注文を取っていた。 「確かにかわいいね。ガッキーに似てる。」 「ガッキー?」 「ガッキー知らないの?遅れてるな。」 志津里は娘の影響で知った情報を自慢気に語っていた。
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